膝のぐらつきや不安定感に悩んでいませんか?
その原因は、後十字靭帯の損傷かもしれません。
この記事では、後十字靭帯の役割や損傷時の症状、治療法、岡山市での専門的な治療施設について、整形外科医がくわしく解説します。
膝の健康を取り戻すための第一歩として、ぜひご一読ください。
後十字靭帯とは?その基本構造と場所

後十字靭帯(PCL:Posterior Cruciate Ligament)は、膝関節を安定させる4つの主要な靭帯のひとつです。
大腿骨(ももの骨)と脛骨(すねの骨)をつなぎ、脛骨が後ろにズレるのを防ぐ役割を担っています。
見た目には分かりにくい靭帯ですが、歩く・階段を降りる・走るといった動作すべてに関わる、まさに縁の下の力持ちです。
この章では、以下のポイントをわかりやすく紹介します。
- 膝関節を構成する4つの靭帯とは
- 後十字靭帯の位置と特徴
後十字靭帯の仕組みを知ることは、「なぜ膝がぐらつくのか」「どうして痛みが出るのか」を理解するヒントになりますよ。
膝関節を構成する4つの靭帯とは
膝関節は、大腿骨(ももの骨)・脛骨(すねの骨)・膝蓋骨(お皿の骨)の3つの骨で構成され、構造的には不安定な関節です。
そのため、周囲の靭帯がしっかりとサポートすることで、前後・左右のズレやねじれを防いでいます。
膝を支える代表的な靭帯は、次の4つです。
- 前十字靭帯(ACL):脛骨が前にズレるのを防ぐ
- 後十字靭帯(PCL):脛骨が後ろにズレるのを防ぐ
- 内側側副靭帯(MCL):膝が外側に曲がりすぎるのを防ぐ
- 外側側副靭帯(LCL):膝が内側に曲がりすぎるのを防ぐ
たとえばサッカーやラグビーなどで相手選手と接触したとき、膝にねじれや衝撃が加わり、これらの靭帯が傷つくことがあります。
これら4本の靭帯がそれぞれ異なる方向の力を受け持ち、チームのように協力しながら、膝関節の安定性を守ってくれているのです。
後十字靭帯の位置と特徴
後十字靭帯は大腿骨の外側から脛骨の後面へと斜めに走行しており、脛骨が後方へ動くのを防ぐ役割をしています。
たとえばスクワットなど、膝を深く曲げた姿勢でも関節が安定して保たれるのは、後十字靭帯が働いているからです。
逆にこの靭帯が切れてしまうと、膝が後ろにガクッと抜けるような不安定感が生じることがあります。
後十字靭帯は膝の奥にある強靭な靭帯で、脛骨の後方移動を抑えて膝の安定性を守る大切な存在ですね!
後十字靭帯の役割と膝関節への影響とは?

後十字靭帯が損傷してしまうと、階段の昇り降りやスポーツ動作時に不安定さや痛みが出ることもあります。
この章では、後十字靭帯が具体的にどのように膝関節の動きを制御しているのか、また前十字靭帯との違いや関係性についても解説します。
この章で紹介する見出しは以下のとおりです:
- 脛骨の後方移動を防ぐメカニズム
- 日常生活や運動時の膝安定性にどう関わるか
- 前十字靭帯との違いと相互関係
後十字靭帯の役割を理解することは、ケガの予防や早期発見につながりますよ。
脛骨の後方移動を防ぐメカニズム
膝を曲げた状態で荷重がかかると、脛骨は後方に押し出される力を受けます。
このとき後十字靭帯がしっかりと引き留めることで、関節のズレや不安定感を防いでいます。
たとえば車のダッシュボードに膝を打ちつける事故では、脛骨が一気に後方へ押され、後十字靭帯損傷につながるケースが多く報告されています。これを「ダッシュボード損傷」と呼びます。
日常生活や運動時の膝安定性にどう関わるか
後十字靭帯は、歩行や階段昇降など日常動作においても膝の安定を支えています。
特に下り階段や片足での踏み込みなど、片脚に強い力が加わる場面で後十字靭帯の働きが重要になります。
たとえば後十字靭帯が損傷していると、階段を降りる際に「膝が抜けそう」「ガクッとする」といった不安定感を訴える方が多いです。
後十字靭帯は、日常生活やスポーツ動作における安定した膝の動きを支える重要な靭帯です。
前十字靭帯との違いと相互関係
後十字靭帯と前十字靭帯は、方向が逆の力を制御しながら、膝の前後の安定性を保っています。
- 前十字靭帯→脛骨の前方移動を防ぐ
- 後十字靭帯→脛骨の後方移動を防ぐ
この2本の靭帯は交差するように位置しており、前後両方の動きを安定させる仕組みになっています。
両者は互いに補い合う存在であり、どちらか一方が損傷すると膝の全体的なバランスが崩れてしまいます。
後十字靭帯損傷の原因と膝関節の症状

後十字靭帯は非常に強い靭帯ですが、外力が特定の角度や方向に加わることで損傷することがあります。
特に交通事故やスポーツ中の転倒、膝を強く打ちつけた際などに起こりやすいです。
損傷しても初期の痛みや腫れが軽度なことも多く、「ただの打撲だと思っていた」という声も少なくありません。
この章では、後十字靭帯損傷がどのような状況で起こるのか、また損傷時に現れやすい症状や見逃されやすい初期サインについて解説します。
スポーツや事故での典型的な受傷パターン
後十字靭帯損傷は、強い衝撃が脛骨の前方に加わると、脛骨が後ろに押されて損傷しやすいです。
具体的には、以下のような場面がリスク要因です。
- 交通事故で膝をダッシュボードに打ちつけたとき
- サッカーやラグビーなどで前からタックルを受けたとき
- バスケットボールやバレーボールでジャンプ着地に失敗したとき
特に交通事故で膝をダッシュボードに打ちつけたときにケガをすることを、ダッシュボード損傷と呼びます。
後十字靭帯損傷は衝撃を受けた直後だけでなく、時間が経ってから症状が現れることもあるため、受傷時の状況が重要なヒントになります。
初期症状と見逃されやすいサイン
後十字靭帯の単独損傷では、痛みや腫れが軽度で歩行も可能なことが多く、「大丈夫そう」と自己判断されやすいです。
しかし以下のような症状があれば、注意をしてください。
- 膝の奥に鈍い痛み
- 階段を降りるときの不安定感
- スポーツ中に膝が抜ける感覚
- 動かしたときのグラグラ感や違和感
自覚症状が薄い場合も多いため、膝を打った・ひねったあとに少しでも違和感があれば、早めの受診が大切です。
後十字靭帯損傷の検査と診断方法

靭帯損傷は放置してしまうと、関節の不安定性や軟骨の摩耗につながる可能性があります。そのため早期の診断がカギになります。
この章では、後十字靭帯損傷の診断に使われる代表的な検査方法を解説します。
- 整形外科で行われる主な検査
- MRIによる精密診断
どのような検査が行われ、どのように損傷が特定されるのかを理解することで、不安を軽減し、次の一歩が踏み出しやすくなりますよ。
整形外科で行われる主な検査
整形外科では徒手検査によって、後十字靭帯の損傷をチェックします。
徒手検査とは、医師が膝に触れて動きやズレを確認する診察です。
中でも「後方引き出しテスト(Posterior Drawer Test)」は、後十字靭帯のゆるみを見極める代表的な検査です。
膝を90度に曲げ、脛骨を後方に押すと、損傷がある場合は脛骨が通常より後ろに沈み込むように動きます。これにより靭帯の機能低下を判断できます。
シンプルな方法ですが、後十字靭帯損傷を見抜くうえで効果的な方法です。
MRIによる精密診断
徒手検査の結果から後十字靭帯損傷が疑われる場合、MRI(磁気共鳴画像診断)を追加実施します。
MRIとは、後十字靭帯損傷の有無と程度を正確に評価するための検査です。
X線では骨の異常しか確認できませんが、MRIなら靭帯や半月板、筋肉の状態まで鮮明に写し出せるんです。
岡山市内でも膝のくわしいMRI検査が可能な医療機関は多数あります。
後十字靭帯の治療方法とリハビリ

後十字靭帯損傷の治療法は、損傷の程度や患者さまのご年齢、活動レベルによって異なります。
多くの場合は保存療法(手術をしない治療)で改善しますが、重度の断裂やスポーツ選手などでは手術が必要なこともあります。
治療後のリハビリもとても重要で、正しい方法で進めることで関節の安定性を取り戻し、早期復帰が期待できます。
この章では、後十字靭帯損傷に対する治療とリハビリの基本的な流れをわかりやすく解説します。
- 保存療法(装具・物理療法)の流れ
- 手術適応となるケースとは?
- 回復を早めるリハビリのポイント
保存療法(装具・物理療法)の流れ
軽度〜中等度の損傷は、保存療法が基本です。
後十字靭帯は血流が比較的豊富で自然治癒しやすいため、断裂が完全でない場合は、装具による安定化と物理療法による筋力強化で回復が見込めます。
保存療法の基本的な流れは以下のとおりです。
- 膝を固定し、靱帯にかかるストレスを抑制
- 超音波や電気刺激による炎症緩和
- 大腿四頭筋やハムストリングの筋力トレーニング
- ストレッチとバランス練習による再発予防
保存療法は適切な管理とリハビリを並行することで、手術せずに機能回復をめざす選択肢です。
手術適応となるケースとは?
後十字靭帯のみが断裂している例では手術になることは少ないです。
前十字靭帯断裂などを合併している例では手術になることが多いです。
医師としっかり相談しましょう。
回復を早めるリハビリのポイント
計画的かつ段階的なリハビリが、後遺症の予防と早期復帰に重要です。
後十字靭帯損傷後のリハビリでは、「安静→可動域改善→筋力回復→動作訓練」というステップを踏んで進めることが効果的です。
焦って動かしすぎると、逆に不安定性が悪化するリスクがあります。
専門スタッフと連携しながら段階的なリハビリを行うことが、膝の機能をしっかり取り戻すコツです。
岡山市で後十字靭帯の治療なら「あおき整形リハビリクリニック」へ

後十字靭帯の損傷後に「どこで治療を受けるべきか」と悩む方も多いと思います。整形外科の選び方ひとつで、治療のスピードやリハビリ効果が大きく変わります。
岡山市北区久米にある当院「あおき整形リハビリクリニック」は、後十字靭帯損傷を含む膝の治療を得意としており、理学療法士によるマンツーマンのリハビリが受けられる環境が整っています。
この章では、当院の特徴やサポート体制、初診から予約までの流れをご紹介します。
- 当院の特徴と治療実績
- リハビリ専門スタッフによるサポート体制
- 初診からの流れとご予約方法
当院の特徴と治療実績
当院は、膝関節の靭帯損傷に特化した治療とリハビリを提供しています。
院長は膝の診療経験が豊富です。また理学療法士が常駐しており、受傷後すぐの処置から競技復帰まで、一貫してフォローできる体制を整えています。
岡山市での治療を検討している方にとって、専門性と実績を兼ね備えた心強い選択肢です。
リハビリ専門スタッフによるサポート体制
理学療法士によるオーダーメイドのリハビリが、当院の大きな強みです。
後十字靭帯損傷後のリハビリでは、個人の身体状況に合わせたプログラムが必要不可欠です。
そこで当院では、症状・目標・生活背景に合わせて、最適なメニューを提案・指導しています。
専門スタッフと一緒に進める安心のリハビリ体制が、治療効果をさらに高めています。
初診からの流れとご予約方法
当院では、初診からリハビリまでスムーズに進められる体制を整えています。
患者さまのご負担を減らすために、診察のWEB予約が可能で、初診時には医師がしっかり時間をかけて診察します。
診断後には、そのままリハビリ予約ができる体制も整っています。
「仕事が忙しくて通院が難しい」という方には、朝9時からの早朝枠や土曜日の診療をご案内しています。
後十字靭帯損傷に関してよくある質問(FAQ)

後十字靭帯の損傷について調べていると、「これはどうなの?」「本当に治るの?」といった不安や疑問がたくさん出てくると思います。
この章では、患者さまからよく寄せられる代表的な質問に対して、医療現場の視点からわかりやすくお答えします。
- MRI検査はどこで受けられますか?
- 運動復帰までどれくらいかかりますか?
- 後十字靭帯の損傷は自然に治りますか?
MRI検査はどこで受けられますか?
MRI検査は整形外科クリニックからの紹介で、提携医療機関にて受けることができます。
MRI装置は高額な医療機器のため、すべてのクリニックには設置されていないのが現状です。
そこで整形外科クリニックでは近隣の画像診断センターや総合病院と連携しています。紹介状を発行して、スムーズに撮影を受けられる体制が整っています。
当院「あおき整形リハビリクリニック」でも岡山市内の複数の病院と連携しています。撮影後は当院で結果を丁寧にご説明いたします。
運動復帰までどれくらいかかりますか?
損傷の程度や治療方法によって異なりますが、おおよそ3〜6か月が目安です。
一方で手術を受けた場合は、競技レベルの復帰までに6〜9か月程度かかるのが一般的です。
「焦らず・無理せず」が回復のポイント。しっかり治せば復帰は十分に可能です。
後十字靭帯の損傷は自然に治りますか?
軽度な損傷であれば自然治癒の可能性もありますが、医師の管理が必要です。
後十字靭帯は血流が比較的良く、自己修復力を持つ靭帯のひとつです。
ただし適切な安静やリハビリがなければ、変形性膝関節症など将来的な障害につながるおそれもあります。
そのため自然治癒を期待するだけでなく、専門医による評価と管理が欠かせません。
まとめ:岡山市で後十字靭帯損傷の不安を解決したい方へ

膝のぐらつきや安定しない感覚があると、「このまま歩けなくなったらどうしよう」「スポーツはもう無理かも」といった不安がつきものです。
特に後十字靭帯損傷は、初期にはあまり目立った痛みがないため見逃されやすく、気づいたときには悪化しているケースも少なくありません。
もし膝に違和感がある方、過去に打撲やひねりを経験してから膝が不安定になった方は、放置せず早めの受診が肝心です。
岡山市北区久米にある当院「あおき整形リハビリクリニック」では、後十字靭帯損傷に対する診療とリハビリを専門的に行っています。
初診のご予約は、WEBで受け付けております。あなたの「また歩ける・走れる・笑える」を全力でサポートいたします。
